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コラム『人旅』21meets 小泉真さん(日乃出醤油小泉醸造場社長)

人旅 21meets 『小泉 真さん』 

沖新田の魅力的な方々をご紹介する『人旅』。今日の旅先は日乃出醤油有限会社小泉醸造場の代表取締役、『小泉 真さん』をお訪ねした。

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小泉さんは沖新田の東エリア、上南地域をホームグランドにして、仕事のかたわら、地域活性のための取り組みを熱心に頑張っておられる。

具体的には昔、かの文豪、夏目漱石が上南地域に滞在されたという歴史に着目し、漱石弁当や漱石もなか、漱石マドレーヌなどの商品開発をはじめ、多様な情報発信などを精力的に行っておられる。

今日はその取り組みを詳しくお聞きしたいと思う。

 

日乃出醤油の五代目である小泉さん。お店は明治11年創業で137年続いている歴史のあるお店のご主人である。

昔は大豆を蒸したりと、素材を加工するところから製造していた醤油蔵。だが時代の流れとともに製造工程も変化し、現在は素材加工の中間過程まで処理された原料を仕入れて醤油を製造する形態に変化しているそうだ。

 

小泉醤油のキーワードは『まろやかな甘口醤油』。味のまろやかさは昔の味を忠実に守り続けている。甘口にこだわる理由は、現在の市販されている醤油は辛口が多いことから他社との差別かを意識したからだ。昔の味を守り、その味を愛してくださったお客様のためにも小泉さんはどこまでもこの『まろやかで甘口』にこだわりを持っているそうである。

醤油のラベルも『はだか祭り』を模してデザインされユニークだ。

 

小泉さん 『現在のわが国の食文化は和食離れが進んでいます。醤油マーケットはとても厳しい。ただ醤油を販売する取り組みには限界があるのです。そこで町おこしと醤油販売を連携させる方法を探していたのです。』

 

『地域の味を発信したい。』小泉さんの根底にある動機はこれに尽きる。

49歳の時、漱石滞在の歴史を取り上げ町おこしに繋げる取り組みを発起した。

奇しくも49歳という年は夏目漱石が没した年齢である。

ここにも、小泉さんの取り組みと漱石との縁を感じずにはいられない。

 

小泉さんの会社の目の前に現在も残っている岸本家の家屋、ここにかつて夏目漱石が滞在された。 いつも日常生活で眺めている会社周辺の景色をあの夏目漱石も眺めていた…

そんな風に考えるだけで小泉さんの胸は高まったそうだ。

夏目漱石とこの上南地域の繋がりをクローズアップする取り組みをしたいと小泉さんは本気で思うようになった。そして漱石滞在時にも小泉醤油醸造場は営業していた。漱石も小泉醤油で食事をしたかもしれない。

 

小泉さん 『夏目漱石と上南地域のご縁を少しでも多くの方々に知ってもらいたい。その取り組みに呼応する形で私たちの『地域の味』を発信したいという気持ちが合わさり、何かをカタチにしようと動き始めたのが上南地域活性化の取り組みのスタートでした。』

 

地域の料理屋さんとコラボして形にしたものが『漱石ロード弁当』。 コンセプトは瀬戸内の幸を使った弁当

地元の新しい名物になってほしいという協力者達の願いの詰まった弁当だ。

スタイルはまつり寿司で、漱石が食べたとされる『はまぐり』や『チヌの笹(ささ)蒸し』

など趣向を凝らした弁当。

漱石が紡いだ縁で協力者達が集い、カタチにできた弁当は素晴らしいと思う。

地域の歴史をモチーフに小泉さんは、弁当だけでなく、『もなか』『マドレーヌ』『漱石おせち』etc現在も多種多様な商品開発を進めておられる。

 

小泉さん 『短期間の間に漱石弁当をカタチに出来たのは沢山の方とのご縁と力添えがあったからこそ出来たのです。自社の売上げに繋げようというような意識ではなく、上南地域のことを多くの方々に知ってもらいたい。そんな心が開発に協力してくれた方々の心の中にあります。』

 

この漱石弁当は我欲が生み出したものではない。地域を大切に思い、地域にある宝である歴史と幸。地元の方々の真直ぐな心が形作られたものなのである。

 

大元  『今後の取り組みのビジョンなどをお聞かせいただきたいのですが。』

小泉さん『弁当だけでなく、関連グッツやキャラクターなどを売り出していきたいと思っています。子供や女性に向けた取り組みも付加していきたい。そして、町おこしを事業化していくプランもあります。忙しい中での取り組みですが、やりがいがあるので全然苦にならないんですよ。』

 

上南地域おこしキャラクター『ハマグリにゃんこ・きいたくん』は小泉さんが飼っている猫ちゃんをがモデルだそうだ。

ユニークな発想と着眼が今後の取り組みにも活かされることだろう。

小泉さん 『醤油元事業は地域を繋ぐ取り組みを通じながら新たなモデルを構築していきたいと考えています。大手がやらない、できないような取り組みこそが我々の独自性を出していくことができる方法であると思うからです。』

 

最後に旅先の方にお聞きする『こころの言葉』。小泉さんの中にある大切な言葉とは?

 

『志と情熱』

 

小泉さん 『自分の立てた目標に向けて情熱を注ぎ込むこと、発起したら後退はない、前進あるのみ。志を立てるということは諦めないで実現するまで情熱の炎を絶やさないことだと私は思うのです。それこそが実現に向けて何より大切なものだと思います。』

 

夏目漱石が小泉さんに沢山の出会いとご縁を与えてくれている。小泉さんが漱石に関した取り組みをするということも何か運命のように僕は思う。

地域のために、自分の利益だけではなく、誰かのためにという綺麗な心から生まれた『志』はきっと漱石さんにも届いていると僕は思う。

 

その取り組みはもっともっとこれから加速して大きな波になる可能性を秘めている。

何より、熱い情熱は人々に伝染する効果がある。

きっと小泉さんの汚れなき、志と情熱は多くの人のハートに届き、沢山の方々を巻き込みながら成長を続けるだろう。

 

その先に上南地域の活性化がある。小泉さんの真直ぐな目はとても美しく、その活性化は彼の目にしっかりとした形で見えていると思えた。

 

 

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