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人旅 20meets 松村裕正さん

人旅 20meets 『松村裕正』さん(岡山市立上南公民館館長)

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沖新田の方々を訪ねその方の人生を知る旅。人旅。今回の旅先は上南公民館の館長を務めている『松村裕正』さんだ。

 

松村さんは昭和25年生まれ。サラリーマン時代は損保の営業を経験なされ、支店長まで務められた。その後平成19年4月より上南公民館の館長さんをずっと続けて来られている。松村さんが館長となったということは公的施設に民間の血が入ったということを意味する。

 

以前人旅で取材した操南公民館の萩原館長さんと同時期に館長になったことから、親交も厚く以来ずっと隣町の公民館長さん同士お互い励ましあいながら同じように現在も館長を続けておられる。

現在松村さんは有名な文豪である夏目漱石が若かりし時、身内の結婚祝いで上南地区に滞在した歴史があるという点に注目し、滞在当時のエピソードなどを書籍、当時を知る方などさまざまなチャンネルを通じて調べ、情報を発信しておられる。

 

松村さんと夏目漱石との縁の始まりは、松村さんが館長になった年の秋、桑野の印刷会社が夏目漱石を題材にした印刷物を作成した。その時印刷会社とご縁のあった松村さんはその作成過程で一緒に夏目漱石のことを調べたそうだ。

振り返るとそれが文豪『夏目漱石』との縁の始まりであったと語る。

 

上南地区に夏目漱石が滞在したという歴史は意外と地域の方々も知らなかったようである。事実その夏目漱石の滞在について調べていた人物は地域でも数人を数えるばかり。

そこで夏目漱石に興味を持った松村さんは、その数人の方にお話を聞いたり、ご自分で夏目漱石の作品を読み、漱石がどんな人生を歩んだのか資料をあたって調べに調べあげた。

 

その中で漱石がこの上南地区に実際に来られてしばらくの間滞在した時のこともいろいろと分かってきたのである。

自分達が日々生活している地域にかの文豪が実際に訪れ、この地を歩き、この地を見たという事実はロマンをかきたてるには十分すぎる歴史であったろう。

 

松村さんは館長就任の翌年2月頃から『漱石ウォーキング』というイベントを公民館イベントとして始められている。

これは年1回催され、参加者は30名以上。『金田村漱石ロード』と名づけられた漱石が滞在した折のゆかりのある土地をめぐりながら当時の情景を思い浮かべるというもの。

松村さん 『漱石ウォーキング』の魅力は漱石のゆかりのある地をめぐりその当時のエピソードを聞いてもらうだけではないのです。上南地区の風景を感じながら歩き、その場所その場所での昔話を織り交ぜる。地域の歴史を話すのです。昔の暮らし向きはどうだった。とか、現在も残る歴史の名残を実際に見てもらいながら当時の情景を話す。ただ歩くだけでなく歴史探訪という色彩も併せ持っているところに人気があるのだと私は思っています。』

 

この毎年恒例の行事となった『漱石ウォーキング』。参加者の反応も毎回上々である。

地域外から漱石に興味を持った方々が上南地区に出向いてきてくださり、ウォーキングを体験してくれている。開成小学校の子供達も『漱石ロード』を歩いたそうだ。

松村さんから根強い人気の根拠が垣間見えるエピソードも僕に語ってくださった。

 

松村さん 『よその地域でその土地の方に上南公民館でやっている『漱石ウォーキング』のお問い合わせをされることもあるのです。上南地区から離れた地域でです。漱石ウォーキングというものを続けてきた結果、こんなところにもウォーキングの存在を知ってくれて興味を持ってくださる方がおられる。うれしいことですよ。』

 

毎年毎年、止めることなく漱石ウォーキングを行った結果、じわりじわりと周囲の地区、そして岡山の地域にも漱石ウォーキングの存在が浸透してきているのを松村さんは実感しているようだ。

 

松村さん 『ここ上南公民館は隣の操南公民館と違い、外部からの来館者が少ない。ですから情報を発信することで公民館の存在や漱石ウォークなどの取り組みを多くの方々に知ってもらいたいと思っています。それが館長に就任してからずっと続けている私のテーマでもあるのです。』

 

これからの取り組みについてお聞きした。

 

松村さん 『来年は夏目漱石の没後100年、再来年は生誕150年という節目を迎えます。夏目漱石と上南地区とのゆかりをこれからも情報発信し続け、漱石の好きな方を沢山お招きしていきたい。公民館館長として出来ることをやりつづけますよ。』

 

最後に『こころの言葉』。松村さんはどんな言葉を胸に生きてこられたのであろうか?

 

『粘り強く継続することが大事である』

 

松村さん 『どんな事でも結果が出るまでは時間がかかる。結果が出ないからといってすぐに止めてしまったら、その取り組みはゼロのまま。だけど結果が出ると信じて、続けること。これこそが結果を引き寄せる唯一の方法だと私は思っています。この続けるということはシンプルだがとても難しい。ひょっとしたら物事の大切な事はそんなシンプルな事を愚直にやり続けることが出来るか否かという点にあると私は思っているのです。』

 

現在も夏目漱石の魅力に惹かれ、さまざまな事を調べ、発信し続けている松村さん。漱石ウォークもこれからも続けられ、多くの方々を先導して上南地区の歴史と漱石の足取りを伝え続けることだろう。

 

『文化は人を繋げる力がある』松村さんは僕にそう話してくれた。

日本を代表する文豪、夏目漱石が多くの人と松村さんを繋げた。そしてこれからもだ。

 

これからの松村さんのご活躍を心から応援したい。夏目漱石さんもきっと松村さんの継続し続ける取り組みを見てくれている。僕はそう思わずにはいられない。

 

 

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