» 『人旅』13meets

『人旅』13meets

『人旅』 13meets

人を旅し、その方の魅力を感じる『人旅』。今日の旅先は『沖新田一座』という地域の歴

史伝承のために活動している演劇団の演出監督、『佐藤真一』さんだ。

IMG_0779 - コピー

 

沖新田はかつて江戸時代、津田永忠によって干拓事業が成され新田開発された歴史を

持つ地域だ。昔この地で生き抜いた先人達の思いや人生を尊重し、現代の人々に伝えたい

という思いから立ち上がった劇団。その立ち上げについて語ってもらった。

 

『沖新田物語』。これは今から50年前に学区の小学校の授業の一環で先生が書き上げた

ものである。当時子供の頃演劇に参加した座長が発起人になり2011年8月に佐藤さんの所に参加オファーがあった。

その時佐藤さんは大阪在住であり諸事情により参加を一時的に悩んでいた。

しかし台本を読んで感動し、3.11の震災があり『水』に縁があるところ、地元への恩返しをしたいとの思い、座長の熱意に動かされた事から参加を決心する。

 

ご自身の仕事も舞台やイベントの演出を手掛けている佐藤さん。だが一座は全くのゼロからの出発、まずはセット作りから始めた。台本を読んでイメージはすぐに出来た。背景の絵を書く職人、セット、小道具を作る仲間や協力者は何かに導かれるように一人また一人と加わり、一座の下準備は整い、9月末から2週間でセットは製作された。

夜中まで作業することもあり大変だったが、座長は毎日昼食を製作現場に差し入れするなど地域の温かさに触れることでスタッフは頑張れたと佐藤さんは振り返る。

IMG_0776

なぜ大掛かりなセットを短期間に作ったのかは翌月に初回公演を控えていたこともあるが稽古時からセット有りの状態でスタートすることが重要だと考えたからだった。

『ついにセットが完成して出演者にお披露目をした時のみんなの顔が忘れられない』

佐藤さんは感慨深く言う。

 

稽古は週一回、成功させようという一座の団結力は強く、稽古を重ねる毎に演技も良くなっていった。出演者全員が努力していた。

2011年10月、初回公演が学区の祭りで行われる。

演劇経験のない一座の皆は凄く緊張していたが大成功した。全員の努力は見事に実を結ぶ結果となる。

なかでも地域の60代の方々は子供の頃授業でやっていた演劇なだけにとても観るのを楽しみにしていたそうだ。

 

大成功の評判を受けて沢山の方々からの要望で1年後の『敬老会』で再公演して欲しいとの声が上がり、一度限りと思っていた一座の活動は継続されることになる。

 

それから一年後、キャスティングの変更などをしながら準備を重ね、第二回公演も無事終了。

 

IMG_0777

 

佐藤さんは終了後、『この活動は止めてはいけない。続けたいし続けるべきだ』と思うようになる。『きちんとした『沖新田一座』を立ち上げて継続的活動をする団体にしよう』

スタッフや出演者なども共鳴して、沖田神社のお祭りで公演するという新たな目標を掲げ、沖新田一座は再スタートした。佐藤さんは大阪からこの地元である沖新田に生活の拠点も移していた。

 

2013年新メンバーを加え、一座は結団。この年、目標であった沖田神社で4月に公演を行い、明王寺、富山公民館、農業大学校、後楽園鶴鳴館、閑谷学校と公演を重ね、一座の活動は本格化し、実りある年になった。

 

大元  『一座に参加して自分が変わった事はありますか?』

佐藤さん『ココで生きていきたいと思うようになりました。ココが好きだ。地域の事について子供達に伝えたいという思いが強くなりました。』

 

苦労して開墾したこの地の歴史について演劇を通じて知り、自分達の育った地域を慈しみ、かつての先人達の生きた証を尊重すること、それを佐藤さんは劇から教わったのだろう。

時が流れ時代が変わってもそこで生きている様式を守りたい。変わらないで欲しい。その思いはきっと演劇を観た方々に伝わるはずだ。

 

大元  『2013年は大きな実りの一年でしたね。今後はどんな風に活動したいですか』

佐藤さん『一周年を向かえ、更に多くの地元の方々に伝えることを続けたい。座長が子供の頃やった台本を50年大切に保管

していたのと同じ期間、この活動を継続したい』

『60歳ぐらいになって自分の子供を劇で共演したいって夢もありますよ。』

 

笑顔で夢を語る佐藤さんはどこまでも綺麗な目をしている。

 

最後にその人の人生に影響を与えた『心の言葉』。2つの言葉を語ってくれた。

 

『あ(愛)い(命)う(運)え(縁)お(恩)。これらを大切にすれば自ずと運が向く』

 

これは人生の指針であると佐藤さんは言う。自然の摂理は必ず存在する。運に人は左右されるがその後押しを受ける極意を上手に表現された言葉だ。

 

『花より花を育てる土になれ。』

 

これは業界に入って最初に上司から言われた言葉だ。ずっと若い頃の下宿に紙に書いて貼っていた。

演出する裏方としてのあるべき姿。ステージで演者が光輝くために裏方が支える。裏方が土でしっかりと水分や栄養を与えるから花は美しく人を魅了するのだという意味だ。

 

地域の歴史を『伝える』という使命を帯びた佐藤さんはきっとこれからも活動を加速させていくことだろう。その先に沢山の人との出会い、笑顔と幸せがあり、子供から大人まで地元に愛を感じる地域になっていく様子を沖新田で生き抜いた先人達も優しく温かいまなざしで見守っていることであろう。

1476463_448947448542626_289151811_nIMG_0784

 

2014年10月22日。佐藤さんの『子供達に伝えたい』という夢であった地元、操南小学校での公演が実現した。

学区の子供達は劇を通じて自分達が今住んでいる土地の歴史と先祖が切り開いた開拓の精神を感じてくれたはずだ。

 

不毛の地を実りある田畑に変えた沖新田の先人達の魂は『新田魂』として現在も佐藤さんやこの地で暮らす住民に確かに受け継がれている。

沖新田一座の夢、佐藤さんの夢は膨らみ続けていく。佐藤さんは『新田魂』をしっかり背負って沖新田物語を後世に伝える取り組みを継続し続けるだろう。

スポンサー情報

大元登記測量事務所

IMG_1550 - コピー

不動産登記・測量・境界確定を行う土地家屋調査士事務所です。ちなみに当サイトを運営しているのも事務所代表の大元が組織する㈱hybridです。

スナミ製作所

01

岡山の金属加工専門工場「スナミ製作所」は、コルゲート加工など特徴的な技術と、ワイヤーカット・マシニング・プレス加工などを駆使して貴社の「ものづくり」を支えます。