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『人旅』 4meets

毛利啓介 氏に人旅

今日の人旅先は操南学区の書道の先生『毛利啓介』さん。
学区の公民館やご自宅でも書道教室をやっておられ、学区の連合会長さんでもある毛利氏。
一体どんな御仁なのであろうか。

毛利氏が高校生の頃『書道部』へ入部した事が毛利氏と書道の出会いであった。3年間書道を続け、卒業後は一旦書道から離れた生活をする。40歳を超えた頃、不思議な事に書道と縁を再び結ぶことに相成る。

きっかけは子供が書道教室に通っていたのだが卒業と同時に辞めてしまった。たまたま教室が家から近かったこともあり、それならばと毛利氏がご自分で書道を習おう!ということを思い立ち、その教室の門を叩くことになる。

もちろんブランクが長く直ぐには感を取り戻すことは困難だった。

僕はふとした疑問を毛利氏に聞いてみた。
大元 『なぜ書道をやるのですか?』
毛利氏『書道は歳をとっても続けられる。それに将棋や囲碁のように相手がいなくても一人でできる。だから長く楽しめるのではと思った。』

大元 『では書道の魅力は何ですか?』
毛利氏『書いている時間が素晴らしい。世俗から離れた世界に没していく感覚がある。字を書いている時間はストレスも煩悩も全てが無になるんじゃ。そして浄化されて日常の世界へもどる。リフレッシュした気分で生活に向かっていけるんじゃ』

なるほど、趣味は歳をとってからも続けられるものなら現役を退いた後もずっと楽しく毎日のスパイスとして継続する事ができる。
だがきっと毛利氏には書道との強い縁で結ばれているのだと僕は思う。

大元 『書道とは言い表すと何でしょうか?』
毛利氏『精神修養。己の修行のひとつです。』

筆を持ち紙に向かい一心不乱にその瞬間の思い、感情など全てを文字に焼き付ける。
僕は先生が書いている姿を見て、これは『写真』と同じだと思った。人の内面を映し出す写真だ。

入門してからも多くのコンクールなどに出展された。
『展覧会は現在の自分の力量を確認する場所』だと毛利氏は言う。だから上手くやろうと思わず、持てる力を存分に半紙に焼き付けるのだ。

その精神やスタンスは『武道』に通じるものがある。
大元 『武道と酷似する部分を感じますね』
毛利氏『そうじゃろうな。「道」とつくものは突き詰めていけば必ず同じ境地、同じ目標に向かうものなんじゃよ。』

毛利氏が書道を通じて学んだ事は多い。無心でやる事の大切さ。外見の美しさではなく内面の美しさに眼を向けること。どんなに綺麗な字だとしてもドス黒い感情が焼き付けられた字は美しくない。

『人も同じじゃよ。綺麗な顔をしていても、心が醜かったらだめだ。外見で判断するなよ。大事なのは内面じゃ』

毛利氏の優しく強いまなざしが僕は好きだ。綺麗な心で半紙に向き合い続けた男だからこんな目になり顔になるのだ。

僕の名前を書いてもらった。先生の筆は滑らかであり、力強さもある。書いてもらった僕の名前を見てとても心が穏やかになった。僕の名前も先生が書くととても温かい字に見える。

こんなに技量を練り上げた毛利氏だが未だに満足した字が書けず試行錯誤を続けている。
書道は『白と黒のバランス』を考えなくてはならない。字は詰まるところ『線』の構成物である。だから『線』が強靭で美しい線を書く事が出来なくては、いい作品にはなりえない。

現在小学生にも教えておられるが、最近の子供を見て毛利氏が思うことは『恵まれすぎている』ということだ。

毛利氏が高校生の頃は半紙など満足に買うことも出来なかった。だから新聞紙などに何度も何度も筆を入れ、隙間がなくなるまで練習し続けた。
でも最近の子供は、最初で上手く書けなかったら、まだ余白があるのに半紙を捨てる。
『時代が違うんじゃろうなあ。良いのか悪いのか分からんが…』

守愚

最後に恒例の毛利氏の『心の言葉』を教えてもらった。

『守愚』(しゅぐ)
これは愚直に守り抜く。と云う意味らしい。

僕は恥ずかしながら知らない言葉であった。

『時代に迎合することなく己の大切なものを守り続けるということじゃ。時代がどんなに移り変わっても、捨ててはならん変えてはならんものがあるんじゃ』

毛利氏は今後も書道を追い求めていくだろう。『もっと上手く、もっと力強く』と。
僕のやっている『剣』と精神がリンクしており、武道家でない毛利氏に温かく、優しいが、
頑丈な『気』が発せられているのを感じることができた。

僕は毛利氏にいつか『これがわが生涯の最高傑作だ』と思う作品ができることを心のそこから願った。
『守愚』。まさにこの言葉を体現するような御仁であった!

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