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『人旅』 6meets

西藤 氏に人旅

 今日の人旅は学区の消防団で分団長、並びに中区エリアの中第一方面隊の副隊長を務められている西藤さんを訪ねた。

消防団

消防団とは、郷土愛護の精神に基づき、住民有志により組織された市町村の消防機関。
40名の団員のトップとして西藤さんは地域を守る任務についておられる。
団員は男性が36名で女性が4名、女性がおられる事に非常に僕は驚きを隠せなかった。
消火作業は過酷なものだ、体力的にも精神的にも女性は相応しくないものと勝手にイメージしていたが、女性の団員達は主に『救命救急講師・広報活動』など女性ならではの特性を活かした
任務が与えられている。

 入団のきっかけは今から30年前に遡る。当時ある団員の方が退団されたことで『人数確保のために入団してもらえないだろうか?』とオファーがあった。西藤さんは協力する形で入団することになるのだが、その後分団長になろうことなど想像もしていなかったことだろう。

 昔の消防団は年長者が大半を構成しており、若者はほとんどいなかった。その理由から若者が消防団に入ることに魅力を感じられず、若者も進んで入団しようという方は希少であったと西藤さんは語る。
 実際、ご自身も入団してから10年間は年長者の方や先輩方にとても気を遣っておられたらしい。

 月日は流れ次第に環境も、分団内の人間関係も変化していき、少なかった若者も増え、団員の方々との絆も築くことができた。

 「本当に不思議なものだ」と西藤さんは僕に語った。

地域の防災、火災に対して自分達の手で町を守るという意識がしっかりと根を張り、西藤さんは消防団員として意識が入団当時の『腰かけ』といったものではなく、目的意識を持った、立派な消防団員へと変わっていったのである。

 そして分団長に就任してから若者の指導や指揮、組織を管理する立場で訓練等にも尽力していくことになる。

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西藤さんのお話を聞いていると、環境は人を変えるに十分すぎるほどの効果があるように思えてくる。
 もし、協力して入団していなかったとしたら。現在の分団長西藤氏は存在していなかったことだろう。何気ない日常にあるふとしたきっかけは後の人生でこれほどまでに大きな影響力を持っていると思うと、人生どうなるか本当に分かったものではない。

 消防団の主な活動は、管轄エリアでの火災現場での消火活動、それに平時では訓練が挙げられる。西藤さんも現場での経験もあり、つい先日も学区での現場に出動したと仰った。

大元 『現場で何が一番恐いと感じますか?』
西藤氏 『夜の作業が恐いなあ。なぜなら距離感がつかめない。昼と夜とでは現場での感覚が随分と違う。その違いこそが恐ろしいと感じる』

とのことだ。訓練については消火活動に関連した現場での、役割の確認、作業手順の把握などを中心に行われる。この『操法訓練』と呼ばれる訓練は毎年春に大会が催されるらしく、各消防団が『早さ』と『正確性』を競い合う。

 三蟠分団は今年、市で3位の好成績をおさめた。
日々の訓練の賜物であると僕は思う。本当に素晴らしい!

 3.11の悲劇より防災に対する人々の関心は急激に高まった。しかし岡山は比較的、災害などが少ない土地柄であるため、住民達も危機管理に対する意識は非常に低いと西藤さんは言う。

大元 『岡山の住民が災害意識を高めるには何が必要だと思われますか?』
西藤氏『やっぱり消防署や消防団による広報活動が何より重要でしょうな。今、津波が岡山を襲ったら果たして対応できるのか?岡山の住民達は自分の頭で考えて、対策を考える必要性があると思うね。』

あと2年で消防団の定年を迎えるにあたって、感じる事をお聞きした。

西藤氏『とにかく若い人達にもっともっと参加してもらいたい。そうなれば同居している家族や友人などに防災への備えの必要性など広範囲に伝わるし、それが住民全体の意識改革の力となるはずだからだ。』

最後の質問は僕がお会いした方々にお尋ねする恒例の『心の言葉』だ。

『信念と責任』
 役職になった以上は、適当な事は断じて出来ない。自分の立場で出来うる最大限の努力をしてことが大切だとういうこと。自分が入った場所で自分の力を最大限に発揮して、強い気持ちで取り組み続けること。これは信念がなければ出来る事ではない。

 これからも西藤さんは緊急連絡が入ると、消防団の車に乗って、現場にはせ参じる事だろう。
定年までの時間もひとつも手を抜くことなく、やり続けるだろうなあと僕は思う。

 面談後、分団機庫を訪れた。ここは消防団の基地である。学区内で火事が発生するとココから車両が出動していくのだろう。その様を想像すると、胸が熱くなる。自分の身を守ることが第一であるという、現代社会においてもなお、誰かの為に、地域住民のために危険に身をさらす男達は、学区のヒーローである。

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 西藤さんが勇ましく出動していく様を想像しながら僕はしばらくこの基地にたたずんでみた。

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